駅前で座り込んだおんなのモノガタリ

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 駅前で座り込んでこの世の終わりのごとく泣き叫ぶ女を見た。

傍らには男がいて慰めている。

女はいやだいやだと繰り返し、ただひたすらに泣いている。

 

駅中でひたすらにドラムを叩く練習をする男がいる。真っ黒なカバンに、ドラムのスティックを持ち、ひたすらに、弱々しく叩く。

ある朝彼を見かけたとき、いつもより覇気のある力強いドラムさばきを見せてくれた。

しかしながら近づいていくとスティックを箸の如くきれいに揃えてカバンにしまい、正座をしながら遠くの何かに説教をし始めた。

わたしは耳にイヤフォンをしていたため、聞き取ることができなかった。

 

人間は皆、それぞれの方向しか見ていない。

人間は皆、自分自身の世界で生きている。

貴方の世界を見ることはできない。

貴方も、わたしの世界を見ることはできない。

 

ただ、わたしを見つめるその美しい瞳を見ることはできる。

それは貴方も同じ。

 

お金持ちになる権利があるならば、貧乏になる権利もある。ニートになる権利もあれば、ホームレスになる権利もある。

健康でいる権利もあれば、病気になる権利もある。

 

テレビはなんのためにあるのだろう?

久しくテレビを見ていない。しかしながら平然と生きている。あの箱の中で、なにか虚構の別次元が展開されているのかと思うほど、ネットワークは異次元である。

いまの人間は、何次元に生きているのだろう。

土を踏みしめることをしていないと、どこを歩いているのか、物体までもがあやふやなものになり行く。それでは、私たちを形作る細胞は現実なのだろうか。

 

ある日総理大臣が変わって、その総理大臣がパンが大好きな人で、お金を廃止して、パンがお金と同じ意味を持つものとなると宣言したら、日本はどうなるだろうか🇯🇵

特にクロワッサンがお気に入りだから、クロワッサンは一万円以上の価値があるものとされたら、全国のパン屋さんと銀行はどうなるだろうか。

 

現代人はいま、”実感”に飢えている。

手で握りしめ足で踏みしめる確かな温度、感触がどれだけ人間を強く面白く味わい深くするのか、知りたいけどしれない子供がたくさんいる。

 

ふわふわの足元の中で生まれたものたちは、それは最強に毒を放ち、最強に夢を歌うものたちであると…

 

 

 

モニカみなみ